名探偵コナン ゼロの執行人 を観た感想

先日観てきたのでダラダラと

ネタバレあります。

 

 

  2017年映画のから紅の恋歌の時の予告からかなり期待度の高かったアニメ。宇宙から停電する東京方面を映すもので結構楽しみでしたが、安室、コナン、探偵団等々しっかりと見せ場があってそれなりに良かったかなと思います。ただ不満点もそれなりにあってちょっと惜しいなあとも思います。

あらすじ

東京サミット開催の地となる東京湾の新施設「エッジ・オブ・オーシャン」。サミットが開催される5月1日にはおよそ2万人もの警察官が出動するという超巨大施設で、大規模爆破事件が発生! そこには、全国の公安警察を操る警察庁の秘密組織・通称「ゼロ」に所属する安室透の影があった。秘密裏に動く安室の謎の行動に違和感を禁じ得ないコナン。

犯人は毛利小五郎!?

現場の証拠品に残された指紋から犯人はかつて警視庁に在籍していた毛利小五郎と断定されてしまう!小五郎の逮捕を巡って安室と敵対し始めるコナンは過去に安室が容疑者を自殺に追い込んだ事があるという奇妙な事件の話を聞く。そして小五郎の起訴が決まろうとしたその時、厳戒態勢の東京都内で、同時多発的に不可解なテロが勃発!

復讐のカウントダウン!

事件に隠された陰謀にコナンと公安警察が近づく中、サミット開催の日は大型無人探査機「はくちょう」が火星での任務を終え、地球に帰還する日でもある事が判明する。果たして、迫るXデーに何が起ころうとしているのか? 謎の存在・安室透は、敵なのか、味方なのか?

真実、正義、そして、愛のため——。
手段を厭わない「極秘任務」が執行される時
無慈悲な復讐の雨が、守るべきものに襲い掛かる!

名探偵コナン ゼロの執行人(しっこうにん) - 映画・映像|東宝WEB SITE

 

観た感想

・全体を通して

 OP前のアバンでいきなり建物が爆破されるとは思わなかったのでニヤッとしてしまいましたね。タワーはまた何かしらのひょうてきになるのだろうと、モノレールもなんか事件に巻き込まれるのだろうと思っていましたが、まさか軌道上を車で爆走するとは思わなかったですね。

 話としては大人向けかな?って感じでしたが、主な話が公安案件なので仕方ないのかなと。一般の人には馴染みのない警察、検察といった司法行政関係の話がメインなので説明が多くなるのは仕方ないですがちょっと多かった感という気はします。ただ、それによって話の流れが悪くなったとかそういう印象はなかったのでうまくやったなと思います。監督が変わった関係かココ最近の作品と画面の感じが違ったような気がします。羽場が逮捕されて、彼を解放するために警視庁に向かう途中に日下部が崩れ落ちるところはこれまでのコナンの映画ではまったくなかったか、殆どなかった演出のように感じました。このシーンの日下部の演技も良かったのでかなり印象的でした。

 うっかりネタバレ踏んでしまって犯人は誰かだけ知ってる状態で観たわけですが、嘘ネタバレだったのかなとちょっと思ってしまうくらいにはミスリードが丁寧でしたね。

 正直なところ犯人のやっていることと、その動機がつりあっていない、何ともアンバランスな所があってここは向日葵の犯人の意味不明な動機を連想しました。ただ、そのアンバランスなところが犯人の偏狭さ、視野の狭さを表現していると考えれば、納得できるところでもあります。今回の事件はIoTテロによるものであるというのをコナンが導き出し、安室がなるほどと言っているところは公安は一体何を捜査しているのか、事件解決を(尋常ではない洞察力、推理力があるといえ)子どもに頼りきりというのは何とも頼りないなァという印象でした。不眠不休で捜査しているので頭が働かないというのはあるかもしれませんが。

・安室、風見、日下部等の公安関係について

 安室は警察庁警備局警備企画課(所謂ゼロ)所属というのは既に明らかとなっているところでしたが、安室の部下的にポジションにいるから勝手に風見も同じ所属だと思ってましたが警視庁公安部なんですね。原作でもそうのように記載されているところ、すっかり見逃していました。純黒のときはパンフに警察庁との記載があったらしいですが、原作逆輸入の時に設定変更されたか、警察庁に出向していたが警視庁に復帰したとかそんな感じですかね。ただ、純黒の時にも子どもたちがいる前で目暮に公安の者と名乗ったり、観覧車に割り込みで乗る時に、警察手帳を見せて公安と名乗ったりと、警察庁の方に所属しているとにしては身元明かしすぎな感じがする(警察庁の方は実働部隊ではないらしい)ので元々警視庁公安部所属で、ゼロの直属として動いているというのが正しい理解なのかなと思ったり。パンフのは単なる誤記載で。どうでもいい話ですが途中出てくる裏の理事官を最初浦野理事官だと思い、そんなキャラクターいたかなとしばらく悩みました。

 今回、風見はコナンのスマホに盗聴盗撮ができるアプリを仕込むわけですが、その後コナンに盗聴器をつけられるのに気づかず安室に怒られるという何とも頼りないなと思いました。他にもコナンにはつい話してしまう旨言ってたりとそれでいいのか公安はと思ったりもしますが、風見の「人間味」を出したかったのかなと思いったりしました。今後黒の組織や公安関係の話でレギュラーキャラとしてでくくるんでしょうね。

 今回最初に起こった東京サミット会場の爆発について事件で処理されそうになったので、毛利探偵に疑惑を向けて事件化するということをやるわけですが、ここで毛利探偵が選ばれたのは、劇中で述べているようにコナンを巻き込みたかったということの他に自営業(しかもわりと暇そうなの)で数日身動きが取れなくなっても影響が小さい事があるんだろうなと思いました。自らが行なったのことの尻拭いは自分たちでやると発言している安室ですが、今回の件の発端が公安が過去に行ったことですよね。安室達警察側の公安の意図があったとは言え羽場の自殺が偽装であることを日下部には伏せるといったちょっと配慮に欠けた対応をするという十分な後始末をしなかったのが原因であるわけで、羽場と日下部がかなり密な関係であることを知らなかったとはいえ、警視庁の屋上でしたような説教を当時にしておけば、ここまでのことは起きなかったのではと思います。

 日下部は検察庁公安部に所属する検察官ですが、普通の検察官は司法警察員に対して一般的指揮や指示をすることができ、従わない場合には懲戒を請求することができたりと立場としては検察官のほうが上位であるはずが、公安検察で所属する人数等の捜査能力の関係から、公安案件では立場逆転し、検察公安部に自律性がなく、公安警察の下請け、公安警察の言いなりになるところが日頃から不満に思っていて、それを受け入れている上司の岩井統括検事にも不満があったようですね。そこに上記の羽場の件があって、公安の権威を失墜させたい等の思いを抱き、犯行に及んだというものでしたが、民間人に被害で出ないように配慮したみたいなこと言ってましたが、警視庁に帰還カプセルが落下すると周囲1kmは被害出るっていうことらしく、避難描写のあった東京地方検察庁本庁がある中央合庁2号館をはじめとして周囲にある合庁にも影響あるわけで、警察検察以外の人間を巻き込むおそれがあるわけで微妙だなと思いました。結局日下部が警視庁の屋上にいると誤認して、暗証コード?を教えるわけですが。

 毛利探偵が公安によってあれこれでっち上げられた挙げ句逮捕された時はIoTテロを起こして、無実を証明するというとんでもな手段に出るわけですが、これがなかったらどんどん裁判進行していって、橘が無罪を勝ち取りにいってないため毛利探偵有罪っていうこともあり得たので、結局のところ日下部が動かなければ公安側の思惑に反して違法行為のケリをつけることができないということに、ということになったのかなと振り返って思ったり。

 公安警察の言いなりとなって毛利探偵の裁判を担当することなった日下部を通り越してあれこれ話を進める岩井統括ですが、いい演技でしたね。声の主に全く気が付かなかった。

 正義の為には悪事もやるぞいという風の公安警察にそれはいかんでしょ、真実じゃないしというコナン。正義とは……と苦悩する日下部と三者三様でこういうのは個人的に好みです。

・橘とか羽場とかついでに日下部

 橘は理由は不明?ながら元々風見の協力者で修習終了時の式典みたいなのでひと暴れして目をつけられた羽場を監視する役目を負いますが、恋仲になってしまうというよくある展開。一方羽場はひと暴れしたところを見た日下部に協力者になってほしいと言われて協力することに。そしてNAZUの不正アクセス事件で違法捜査やって公安警察に逮捕されるということになり今回の事件へとつながるわけですが。

 しかし羽場と日下部は互いの正義感に共感を覚えた協力者という家族を超えた関係みたいなこといってて、再会シーン以降の一連で互いに涙流したりしてるんですが、なんとも雰囲気に協力者という関係を超えたのパートナー関係のにおい漂う風に感じてちょっと個人的にどうかなと思いました。私が深夜アニメの見過ぎで変な風に捉えてしまってるんだと思いますが。そのせいで暗証コードのHABA_231を観た時鎮魂歌の解除コードのヒントである「あなたが一番愛する人の名前は?」を連想してしまいました。

 橘は公安警察に協力し、指定された被疑者、被告人の弁護担当し、有罪判決のサポートしていたと思われるところ、今回は逆に無罪判決を勝ち取れと言われてさぞびっくりしたでしょうね。橘も羽場の件で公安に恨みを持っていたのでいつも通り有罪にしたれと怠けていました。個人的に気になったのは起訴されると9割以上有罪といっていたところですね。一般に言われているのはTBS系のドラマのタイトルにもなったように有罪率は99.9%であるというものです。しかし実際には99.9%でないという指摘があります。

keisaisaita.hatenablog.jp

台詞回しとか制作上の関係で9割以上としたのかもしれませんが、この台詞を聞いて思わず感心しました。

・黒田管理官こと黒田兵衛について

今作においても黒田兵衛は警視庁捜査一課の管理官として登場しています。しかし、キービジュアルに登場したりと公安、特にトリプルフェイスがクローズアップされている安室に関係がありそうな雰囲気を出しています。そして、安室とヘッドセットでやり取りをする時に言った「ぬかるなよ、〇〇」という台詞から、黒田兵衛こそが裏の理事官ではないのかなと思いました。「〇〇」に関しては口の動きから「バーボン」ではないかなと思いました。なんでわざわざバーボンなのか不思議なとこではありますがトリプルフェイス要素を出したかったからなのかなと。ただ、RUMである可能性もあるのでアレですが、RUMであるならば、黒の組織にたいして不誠実というかいろいろ放置しすぎでは?という感じもあり、どうなのかなと思ったりします。私としては周囲にひとがいない所でのやり取りをしていますが万が一にも話相手が安室透ないし降谷零であると思われてはいけないと思い、あえてバーボンと言ったのではないかなと妄想してます。普通の人がバーボンと聞いて連想するのはウイスキーでしょうし。

 現実世界では裏の理事官は警視正級のポジションで黒田は警視なので、コナンの世界も現実に即しているのであれば、素性を偽って警視庁の捜査一課に来ているということになり、裏の理事官でありながら、捜査一課の管理官もやっているという、そもそも裏の理事官は警察庁の組織から消えるのに普通に顔を出していてもいいのかという何とも妙なことではあります。まぁ、そのうち原作で明らかにことだと思うので、気長に待ちたいと思います。

・次回作について

 ラストの予告に怪盗キッドが出たので来年は怪盗キッドメインの話だろうと。前回のキッドメイン回から間が空いたのでそろそろかなと思っていましたが、前回のキッドは向日葵でアレだったので次は面白く仕上げてほしいなと思います。